グラスはアイスクリームとシャーベットの総称。フルーツやショコラと様々な味や香りをつけたもので、それらを扱うアイスクリーム屋さんを“グラシェ”と呼びます。
 初夏から夏の間、どこのお菓子屋さんもお店の前に小さなスタンドをだし、できたてのアイスクリームをコーンカップにクルンとひとすくい(ふたすくいもありです)して売っています。
 新鮮な果物やクリームなどの材料で作られたソルベは、季節を問わず人々に愛されています。秋冬にはマロンやキャラメル、ショコラやヘーゼルナッツなどコクのある味が増え、乾燥した冬のパリではアイスクリームがなおさらおいしく感じるものです。
 サン=ルイ島はグラスの激戦区。老舗の『ベルティヨン』も『アモリーノ』もここが発祥の地。『ベルティヨン』はフレッシュな果実を使ったソルベ系がすばらしいクオリティで、『アモリーノ』はクリーミーなグラスを得意としています。
 さらに『アモリーノ』では何種類か選ぶと店員さんが花びらのような形に盛りつけてくれます。私のお気に入りはバニラを中心にコーヒーとキャラメルで花びらを作る組み合わせ。ベージュの色合いがシックで、味のバランスも抜群です。
 『ベルティヨン』は左岸の何軒かのカフェにも商品を卸しているので、黒板などに「ベルティヨンのグラスあります」と書かれたカフェでも味わうことができます。
 日本にもヨーロッパブランドのジェラート店が進出していますが、やはりここにも素材の差が大きくでます。クリーム系はなんといっても牛乳、フレッシュクリームが味を左右し、新鮮な生の果物から作る現地のソルベは冷凍のフルーツ・ピューレとは香りが違います。
 またサロン・ド・テの『クープ』と呼ばれるパフェのようなデザートは、アイスクリームに泡立てた生クリーム、フルーツなどを盛りつけ、果物のクーリ(ソース)をかけたもの。エスコフィエ氏創作のペッシュ・メルバという桃とバニラアイスクリームにフランボワーズのソースがかかった一品が代表的。
 いちごの季節はフレーズ・メルバ。『ラデュレ』のクープラデュレはマロングラッセとバニラアイスクリームの組み合わせで、抵抗できないおいしさです。

グラシエを見つけるとつい立ち寄ってしまうパリッ子たち。通りすがりのムッシュも思わず駆け寄って

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著者:内坂芳美
パリのスイーツ事情から、スイーツめぐりの楽しみ方、パティスリーのお菓子やグラシエ、おやつにも食べたいパン屋さんの紹介まで、パリのスイーツを楽しむための方法やコツが満載。
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