文化を変えたひとりの男[アメリカ]

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YUBISASHI 旅の指さし会話帳

 スターバックスの宣伝をする気は毛頭ないが、シアトルのカフェ、コーヒーを語る上で、スターバックスは外せない。
 時は1971年4月。シアトル市民の台所と言われている、100年を超える歴史をもつパイク・プレイス・マーケット前に一軒のコーヒーショップがオープンした。スターバックスの1号店である。正式な店名は「スターバックス・コーヒー・ティー・スパイス」という名称で、現在でも世界中のスターバックスで唯一ここだけが最初の店名のままで、看板のロゴマークも違っている。
 最初は店名の通りカフェではなく、コーヒー豆や紅茶葉やスパイスの卸売り、小売りをする店だった。後にコーヒーショップに転換するが、スターバックスの提供するコーヒーはそれまでアメリカで飲まれていた薄いコーヒーとは違った。本来の香り、味のあるコーヒーで、翌年にはワシントン大学のあるユニバーシティ・ディストリクトに2号店を出店するほど受け入れられた。ただし、この段階ではまだ、現在のエスプレッソスタイルのコーヒーではなかった。
 1984年、店舗開発とマーケティング担当の役員としてスターバックスに入社したハワード・シュルツという人物が、イタリア旅行の際に入ったエスプレッソ・バーをイメージし、6号店にエスプレッソ・バーを併設した。

スタバ1号店内のカウンターにある真鋳のロゴマーク。

スタバ1号店内のカウンターにある真鋳のロゴマーク。

世界中のスタバで、ここにしか使われていない最初の看板。

世界中のスタバで、ここにしか使われていない最初の看板。

 そもそもシアトルには、1800年代からイタリア人移民がやって来ていた。現在でもイタリア系シアトライツ(シアトルっ子)は多く、年に一度イタリアンフェスティバルが開催されているほどだ。そこで、シアトルではイタリア的エスプレッソコーヒーが受け入れられるとハワード・シュルツは確信したのだ。
 しかし、スターバックスの創業者たちはエスプレッソ・バーの展開には懐疑的だった。そこで翌年シュルツは独立し、1986年にイル・ジョルナーレというエスプレッソ・バーを立て続けにオープンさせた。イタリア系だけでなく多くのシアトライツの人気を獲得すると、投資家から資金を調達し1987年、スターバックスの商標、店舗、工場を買収する。ここからシアトルのコーヒーはエスプレッソスタイルが基本になった。 

人が絶えないスタバ1号店。土日には長い行列ができ、コーヒーを買うのも一苦労。

人が絶えないスタバ1号店。土日には長い行列ができ、コーヒーを買うのも一苦労。

〈ダウンタウンエリアのカフェ 2〉
CAFFE LADRO
住所:801 Pine St. Seattle
TEL:206-450-1950
営業時間:8:00~18:00 
定休日:なし
https://www.caffeladro.com


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オーガニックのコーヒー豆を使用している。ベーカリーも兼ねていて、店で焼き上げられる数種類のパンも人気。キャピトル・ヒルをはじめシアトル市内に多くの店舗がある。

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ワンテーマ指さし会話 シアトル×カフェワンテーマ指さし会話 シアトル×カフェ

著者:倉本哲
シアトルのカフェ事情から、Metroの活用やダウンタウンの紹介、シアトルカフェガイドまで、シアトルの街を散歩気分で楽しむための方法やコツが満載。
【Yubisashi Shop】 ワンテーマ指さし会話 シアトル×カフェ

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