オリパラ選手たちをアテンドする現場の声「コロナ対応で前提が大きく変わった」星槎グループ、世界こども財団職員の石田博彰さんに聞く

オリパラ選手たちをアテンドする現場の声「コロナ対応で前提が大きく変わった」星槎グループ石田博彰さんに聞く

コロナ禍のオリパラを考える

私ども、情報センター出版局では、さまざまな自治体・企業様からご依頼をいただいて、外国人対応用の指さし会話ツールを作成しています。

2020年秋以降、オリンピック、パラリンピックに向けての案件をご相談いただくことが増えております。
その制作過程では、外国人を迎える様々な立場の方とお話しする機会がありますが、痛感するのは、コロナ前に検討されていた想定が大きく変わってしまったこと。
来日する選手、役員、関係者、観客、それぞれにどんな対応をするべきなのか? そもそも、何をどこまで検討すべきなのか? 手探りの場合が多いようです。開催の規模も形も、どんなものになるかわからないので当たり前ではあります。

そこで、少しでも、現場で外国人対応を担っている方のヒントになることがあればと、様々な現場で見聞きしたコロナ対応のレポート、担当の方のインタビューなどを掲載していきたいと思います。
※制作支援についてはこちらをご参照ください。 ▶コロナ禍の今こそ「指さし会話」でコミュニケーション支援

▶ コロナ禍のオリパラを考える(2020年11月より記事更新中)

箱根の大自然の中のスポーツ施設

小田急線ロマンスカーの終着駅・箱根湯本駅から車で30分ほど、曲がりくねった坂を登っていくと仙石原に到着します。ここに、箱根町の中学校だった場所を利用してつくられたスポーツ施設、星槎(せいさ)箱根キャンパスがあります。人工芝のサッカーコート、ハンドボールコート、テニスコート、体育館に格技場。宿泊施設や食堂施設もあり、日本国内の大学や高校などの合宿や、海外のサッカーの代表チームのキャンプなどでも使われています。
星槎グループは、北海道から沖縄まで、大学、高校、中学、幼稚園などを運営する学校法人です。箱根キャンパスは、グループ内の星槎大学のキャンパスでもあり、外部にも貸し出して運営するスポーツ施設でもあります。

カフェテリアや食堂も開放的な明るい雰囲気です。このカフェテリアのすぐ目の前はグラウンド。練習に集中できる環境です。

三浦知良選手も自主トレで使ったことがあるそうです。

三浦知良選手も自主トレで使ったことがあるそうです。

エリトリア、ブータン、ミャンマーの選手団を受け入れ

この星槎箱根キャンパスでは、エリトリア、ブータン、ミャンマーの事前キャンプが行われる予定で、今回の記事でお話を聞いた石田博彰さんは、世界こども財団で働き、ブータンの選手団の受け入れを担当しています。

世界こども財団のある星槎グループは、創設者である宮澤保夫会長が1972年に生徒二人で立ち上げた塾から始まりました。星槎グループは、「共生・共育」をテーマに、幼稚園・保育園からフリースクール・中学校・高等学校・専門学校・大学、社会人やお年寄りの生涯学習まで、さまざまな年齢層に新しい学びの場を創設しています。また、日本国内及び世界の国々の中で、さまざまな困難を抱えながらも、その将来を必死に切り拓こうと努めているこどもたちや青少年を支援し、かつあるべき共生社会の人材として自立できるよう、その健全な育成に寄与することを目的として活動しています。

星槎グループは、世界こども財団を通じて、スポーツを通した世界の青少年の育成にも力を入れています。2015年にアフリカのエリトリア国オリンピック委員会(ENOC)、2017年にはブータン王国オリンピック委員会(BOC)と、そして2018年にはミャンマー連邦共和国オリンピック委員会(MOC)と神奈川県における事前キャンプに関する協定を締結し、各国に対しアスリートの強化やスポーツ留学生の受け入れ等、多彩な支援プログラムを実施してきました。東京オリンピック・パラリンピックの開催にあたり星槎箱根キャンパスは、エリトリア、ブータン、ミャンマーの選手団の事前キャンプ地となりました。もちろん、民間団体だけでできることではないので、神奈川県、小田原市、箱根町、大磯町とも調印し協力しながら進めることになっています。

星槎グループは、三ヶ国と事前キャンプの調印をしました。

星槎グループは、三ヶ国と事前キャンプの調印をしました。


細かなところまでバリアフリーに配慮した宿泊施設

細かなところまでバリアフリーに配慮した宿泊施設も、2020年に箱根キャンパス内にオープンしています。

外国人受け入れの豊富な経験

2020年に、弊社がお手伝いさせていただき、星槎グループ・小田原市・箱根町・大磯町向けの指さし会話ツールを作らせていただきました。エリトリア、ブータン、ミャンマーの選手たちを迎えることが決まっていますので、それぞれの言語も収録しています。挨拶や歓迎の言葉から、コロナ対策の言葉まで、さまざまな言葉を収録しています。
箱根キャンパスを取材する際に、石田さんのお話を聞く機会があったのですが、外国人選手たちのアテンドについて、非常に深いノウハウを持っていることに驚きました。たとえば、こんな体験談を聞いたのです。

・選手たちが自動販売機で飲みものを買う時にお札を入れて飲み物を手にすると、お釣りが出てくるとは考えず、お釣りを取り忘れがち。
・来日するとすぐ選手たちに、スマホに入れるSIMカードを渡すことが増えているが、よく注意しておかないと、羽田から箱根までの移動の間にパケットを使い切ってしまう。
・最終日のショッピング前の両替は、団体だと数十万円になることも。両替レートによってかなりの差になるので、あちこちの両替所のレートを調べることになる。
・車で選手を移動させる時に渋滞はつきもの。交通関連の言葉の中では「渋滞」が一番重要かもしれない。

、、、等々、アテンドした人にしかわからない、“あるある話”をたくさん教えてくれました。
同時に、アスリートの厳しさを感じさせる、こんなエピソードもありました。
「飲みかけのペットボトルの水が、まだたくさん残っていても、捨ててしまう選手が多いんです。それで理由を聞いてみたら、万が一何かを入れられたらと警戒していて、一度目を離したらもう飲まない、と答えが返ってきました」
どんな国の選手であっても、国を代表してやってくる人たちは、非常にシビアな試練を経て、しのぎを削っているのです。そういうことを改めて感じさせられる話でした。
今回の記事を書こうと思ったのは、そういった経験をされ、今まさにオリパラに向けて準備を進める現場にいる石田さんの話は、全国で同じようにオリパラの準備をされている方たちの参考になるに違いないと考えたからです。

箱根キャンパスには、さまざまなキャンプが行われた際の写真が飾られています。各国との交流の中で、外国人対応のさまざまなノウハウが蓄積されています。

箱根キャンパスには、さまざまなキャンプが行われた際の写真が飾られています。各国との交流の中で、外国人対応のさまざまなノウハウが蓄積されています。


2019年に東京・日本武道館で行われた世界柔道選手権大会にブータンの選手たちも出場

2019年に東京・日本武道館で行われた世界柔道選手権大会にブータンの選手たちも出場し、石田さんがアテンドを担当しました。

オリパラ準備途中でのコロナ

3ヶ国の事前キャンプを決めた星槎グループですが、2020年春、いよいよオリパラの準備も大詰めという段階で新型コロナの流行により、東京オリンピック・パラリンピックは延期となってしまいました。
では、代表選考はどうなっているのでしょうか? たとえばブータンのアーチェリーの代表選手についてうかがったところ、
「ブータンは、2019年の12月に国としてのオリンピックへの出場権は得ています。ただし、代表選手は2020年になった段階でも決まっていませんでした。出場選手は、2020年春の国際大会の成績で決める予定だったからです。ですが、新型コロナウイルスの感染拡大で国際大会が中止となってしまい、結局代表選手は決まらず、そのまま2020年の年末になってしまいました」
とのことでした。
今回インタビューをして初めてきちんと認識しましたが、競技にもよって出場選手の決まり方は異なります。
予選を勝ち抜いたり、出場標準記録をクリアしなければ、出場権を得られない競技もあります。
その一方で、参加希望の国、特に途上国などに出場権を与える競技もあります。これをものすごくアバウトに言うと、高校野球の選抜大会で、予選に当たる大会で優秀な成績をおさめて出場権を得た学校があるのとはまた別枠で「21世紀枠」があるように出場国を決める、そういった競技もあるわけです。
つまり、受け入れる側としては、
・予選を勝ち抜かなければ来るかどうかわからない
・出場権はあるものの誰が来るのかわからない
この二つのケースがあるということになります。
2020年春以降、多くの競技で国際大会の空白期間が続いていますので、代表選手が決まらずにいる国が多いのが現状です。まだまだ、どの国から、何人の選手が来るかわからないし、誰が来るかはわからない。そういう状況にあるのです。
このインタビューをしたのは2020年の12月18日でした。漠然と「エリトリア、ブータン、ミャンマーそれぞれ、何人ずつ来ることになっています」という答えが返ってくるものと考えていましたが、現場はそれどころではないことを、痛感する返答でした。

コロナ禍でできることの模索

そんな中で、星槎グループではzoomでアーチェリーのオンライン試合をやったそうです。
ブータンの選手、JOCエリートアカデミーの選手、元日本代表選手、星槎グループ内の学生選手、そういった参加者を集めて行なったとのこと。オンラインの授業やイベントは聞いたことがありましたが、試合???
「アーチェリーは、基本的には個人個人の得点を競う競技なので、厳密には環境が違うという問題はあるわけですけど、試合を行うことができました。オンラインで矢を射る映像や、的にどう当たったかを確認し、採点する映像を撮って、お互いに見ながら競技しました。緊張感がある中で試合が行われ、ブータンの選手も大きな刺激を受けたようです」
この記事を読まれている方も、コロナ禍でいろいろなオンラインの体験をされたかと思いますが、実体験には劣るものの、同じ時間を共有する中で得られることも多いものです。しかし、国際試合をしてしまう実行力はすごいなあと感じました。
ほかにも、ミャンマー代表クラスの選手と星槎グループの学生で、空手の型の大会を行なったりしたとのこと。現状の限られた状況の中で、何ができるかを模索するパワーには驚かされました。

国際試合の機会が失われた選手のために、オンラインでの大会も行われました。上はブータンとのアーチェリーの大会、下はミャンマーとの空手の大会の様子です。

国際試合の機会が失われた選手のために、オンラインでの大会も行われました。上はブータンとのアーチェリーの大会、下はミャンマーとの空手の大会の様子です。


空手の大会の様子

アテンドで懸念されること

石田さんは、オリパラの際に、実際に選手たちを出迎えて、事前キャンプの間のさまざまな要求に応え、選手村に選手たちを送り届ける役目があります。来日する人数などの規模も決まっていない中で、どんな懸念があるかを聞いてみました。
「まずは、選手たちが羽田に到着するのを迎えにいくところがスタートですが、迎えの車を消毒するところから始まるわけです。その際の消毒をどのようにするか? そして座席は間隔を空ける必要があるでしょうから、“ここは座っていい”、“ここは座ってはダメ”と座席に貼り紙などをすることになるでしょう。エリトリア、ブータン、ミャンマーの選手たちにそれを徹底するためには、どういう表示がよいのかを考えないといけないとも思っています」
先に掲載した記事でも書きましたが、選手たちの移動は、基本は専用車ということになっています。ですが、専用車に乗ればOKというわけではなく、専用車の中も距離を保つことが必要となるのですね。現場で考えておくべきことは膨大にあるようです。
「出国前に十分な感染症対策をしていたり、検査をして出てきたとしても、エリトリア、ブータン、ミャンマーのいずれの国からも、直接日本に来ることは難しいので、途中で乗り継ぎになるはずです。そうすると、その乗り継ぎの間に感染する可能性もゼロではない。実際に羽田や成田でPCR検査をすると陽性と判断される人が今もいるわけですから」
こうして聞くまでは考えてもいませんでしたが、トランジットの間の感染の可能性も確かにゼロではない。可能性は低いですが、もしも来日した選手が陽性となったら対応は大変なことになります。
「羽田で検査された選手の一人が陽性となったら、その選手だけ置いてキャンプ地の箱根に移動できるかというと、難しいのではないかと。その選手へのフォローも必要でしょうし、一緒に移動してきた選手が濃厚接触者と判断されれば、他の選手たちへの対応も必要となるでしょう。そこまで考えると、選手団には、飛行機での移動の際に、間隔を空けたり、あえていくつかの便に分けて来てもらう要請をするほうがよいのかもしれません」
万が一、一人の選手が陽性と判断された場合に、他の選手は問題ないとするためには、濃厚接触しあうことなく来日する必要がある、ということです。
「そう考えていくと、来日する前から、エリトリア、ブータン、ミャンマーそれぞれの国側に、飛行機にどう乗るか、コロナ対策をどうするか、といったことを伝えて、且つ確認をしておくべきなのかもしれません」
用意すべきことは、本当に膨大にありそうです。

外国人にこちらの要望を伝えることの重要性

星槎箱根キャンパスでは、エリトリア、ブータン、ミャンマーの選手たちがキャンプを行う予定です。そこにホストの日本も加えると4ヶ国の人が一緒に生活することになります。
「いろいろな文化と言語を持つ人たちが集まる中で、100%に近い安全を保たなければならない。その中で、全員に通じる形で注意事項などを伝え、理解してもらい、実行してもらう必要があります。その時に、指さし会話帳のようなツールが重要になるでしょう」
弊社もお手伝いした指さし会話帳には、エリトリア、ブータン、ミャンマーの言葉で「マスクの着用」「体温測定」「間隔をあけてお並びください」「手指の消毒」「PCR検査」といった言葉が掲載されているのですが、それらの言葉がお役にたつ場面も多いにありそうです。
「密にならないことを、最大限に考えていくと、アテンドする側の人数も増やさないといけないはずで、そうすると外国語に不慣れな人も当然関わる場面も増えるでしょう」
英語や中国語をできる人が確保できるとしても、その他の外国語まで伝えられる人となると限られるはずです。さまざまな外国語で、コロナ対応のお願いを伝える仕組みが求められることを感じました。

神奈川県庁様向け指さし会話シート

弊社が制作をお手伝いした指さし会話帳には、コロナ対応の言葉も5つの言語で盛り込まれました。

選手村の受け入れ体制は?

事前キャンプを行った選手たちは、競技期間中は選手村に入ることになります。
「選手たちを、試合当日に競技会場に送り届けることになったら、渋滞の懸念などで大変です。ですから、選手村に滞在してもらって、競技会場まで組織委員会の専用車で送ってもらえるのは安心です」
ただ、選手村については、一つ要望もあるとのこと。
「組織委員会などで、選手村のコロナ対策については検討しているはずです。それは、専用車の仕様や食事の際のルール、宿泊する部屋の消毒の規定などさまざまです。そういったことを公開してくれれば、事前キャンプ等で選手を受け入れる自治体にとっても参考になるはずです」
2020年12月3日に行われた、オリパラのコロナ対策委員会の会議で公開された資料では、事前キャンプの受け入れ先やホストタウンとなる自治体のコロナ対応が求められています。そして各自治体が対応マニュアルを作るために、内閣官房から「手引き」が発表されています。しかし、専用車でどのように座席を空けるか、宿泊先の部屋をどう消毒するか、といった本当に現場の対応についてまでは示されていません。
その中で、選手村のそういった規定が公開されれば、確かに大きな意味を持つことでしょう。

日程を組むことの難しさ

オリパラには選手以外にも、各国から多数の関係者がやってきます。実際にどういった方たちが来るのかを聞いてみました。
「最低限の基本となるのは、各国にオリンピック委員会があり、その委員長と事務局長が通常は来日します。実務レベルで窓口となるのは、委員会の中の“東京五輪担当者”。この人が各競技の選手や監督、コーチ達と連携をとっています。私が直接やりとりするのも、基本的にはこの東京五輪担当者です。彼らは、事前キャンプの時点で選手達といっしょに来日して、日本に来てからも組織委員会や会場などを行き来することになるはずです」
オリンピックの開会式で、選手団の中に役員の人がいるのを見ても、何でこの人たちがいるのだろう? としか考えたことがなかったので、新鮮に驚きました。ただ、役員の来るタイミングも調整が難しいそうです。
「競技は前半、後半に分かれる傾向があり、その国の選手たちがどちらに多いかによって、役員が来るタイミングも変わる場合があります。委員長、事務局長といった人たちが来るのは、開会式か閉会式に合わせて、という場合が多いです。ただ、出場する競技が決まらないと、そのタイミングも決まらない。現時点ではまだ、わからないです。これはオリンピックも、パラリンピックも同じです」
本当に迎える側の調整は大変ですね。オリパラの開会式、閉会式で役員の姿を見かけたら、その背後に大変な労力をかけて調整した人がいることを思わないといけないですね!!

ホストタウン交流の悩みと“おもてなし”

そして、そういった日程の調整は、ホストタウン交流にも及んできます。
「もともとのホストタウン交流は、各地の人たちが選手と交流し、そこで日本流のおもてなしすることが考えられていました。つまり、接触ありが前提だったのです。でもその前提が崩れてしまった」
そうなのです。“おもてなし”がいつの間にか忘れられてしまっていることに気づきました。
「事前キャンプの間に、選手達がずっと練習だけでよいのか、という問題もあります。交流しながら気分転換もして、ホストタウンの方たちの応援を受けて競技に臨むのが、モチベーションを保つ上でもよいに決まっている。でも14日間の待機期間を免除するかわりに、一般の人との接触は避けることが前提となるので交流は難しい。そのため、競技をした後で交流することが理想ではあるのですが、コロナ対策を考えて感染のリスクを少しでも減らそうとすると、早く帰国するほうがよい。すごく難しい問題です。課題は多いです」
競技をする選手も、そこに関わる指導者や役員の方達も、さまざまなことを乗り越えて日本にやってきます。“おもてなし”の気持ちで迎えられる環境が整うことを祈らずにいられません。

オリパラに望むこと

東京オリンピック・パラリンピックに向けて、全国各地の多数の皆さんが、これまで多大な苦労のもと、さまざまな準備をされてきました。その前提が、新型コロナウイルスの感染拡大で一変してしまいました。現場で対応する苦労は大変なことと思います。
そんな中で、石田さんがオリパラにどのような思いを持っているかを最後に聞いてみました。
「オリンピックの男子柔道の66キロ級代表を決める試合が12月13日に行われましたが、すごくいい試合でした。私は海外の人ともやりとりを続けていますが、柔道関係者はその試合について、評価しいている人が多かったです。二人の選手がどんなに準備を積み重ねたかが伝わってくるし、スポーツにはそういう発信力があると改めて思いました。オリパラも、そういうものになると期待しています」
阿部一二三選手と丸山城志郎の24分間の死闘は、壮絶なものでした。オリパラでも、選手たちの思いが伝わる熱戦が繰り広げられ、それが世界に伝えるものは大きいことでしょう。
そして、石田さん自身が関わるブータンについてもこんな言葉がありました。
「2019年に水泳の国際大会が北京で開かれ、東京では世界柔道が開かれ、ブータンはそれぞれの世界大会に初めて参加しました。会場に飾られている各国の国旗の中に、ブータンの国旗を見つけたときに、純粋にうれしく思いました。世界のさまざまな国から、さまざまな思いを抱えて選手たちが集まっている、その貴重さはメダルの数だけでは測れないものがあると思うのです。そういった、いろいろな国の思いを、星槎グループの学生たちに感じてほしいし、日本の多くの人たち、世界中の人たちにも感じてもらえたらと思っています」
一つの国がオリパラに参加する、そこまでに多大な努力があるのですね。
「開会式や閉会式で、それがどんな形で行われるかもわかりませんが、多くの国の人たちが集まるところを早く見てみたいです」

石田博彰さんのプロフィール:米国大学卒業後現地校にて勤務、帰国後は外資系金融、教育委員会、療育機関にて教育や療育に関わり2004年より星槎グループ所属、星槎国際高等学校 立川学習センター センター長を経て2016年より公益財団法人 世界こども財団 ブータン担当。

インタビューの感想:選手たちの思いはやっぱり深い

石田さんはブータン本国にも何度も通い、選手や様々な関係者との関わりを持ち続けている方。興味深い話を、まだまだたくさんうかがったのですが、今回はそのダイジェストとしてこの記事をまとめさせていただきました。
記事中でご紹介したアーチェリーのオンライン大会ではブータンの選手が優勝したとの事。
実はブータンにとってアーチェリーは特別な競技。これは伝統的に弓矢が盛んなことからきています。女子のアーチェリーでは、世界大会で優秀な成績をおさめ東京オリンピックの出場権を自力で得た選手がいるほどです。人口75万人の国から世界に挑み、五輪の切符を掴む。これは本当にすごいことです。
世界各地に、オリパラの本番に照準を定め、今も切磋琢磨している選手達がいるのです。

世界中の選手たちを安全に迎え入れて競技をしてもらう。それは簡単なことではありません。現場にいる様々な方の多大な努力が必要となります。しかし、その努力が実を結び開催された時には、世界中から評価される歴史的な大会になることでしょう。
とくに、競技をすることのできた選手たちからは、大きな賞賛を集めることになると思います。
今回のインタビューで、選手を間近に見てきた立場からのお話を聞き、強くそう感じました。



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