『YOUは何しに日本へ?』
ディレクター・太田 勇さんに指さしインタビュー part2

TX「YOUは何しに日本へ」メイン MCバナナマン


ディレクター・太田 勇さん

ディレクター・太田 勇さん

成田空港に降り立った外国人を「YOU」と称し、マイクを向けて「何しに日本へ?」と聞くところからはじまるテレビ東京の番組。2012年6月の単発放送から深夜枠のレギュラーを経て、2013年4月からゴールデンへと移行したことからもわかるように、YOUたちの意外すぎる訪日の目的だったり、やたらキャラクターが立っているYOUが登場したりで、時に笑い、時に感心しながら、いつの間にか画面に釘付けになってしまう人気番組。
いつだったか、取材されたYOUが「指さし 暮らしの日本語スペイン」を使っているシーンもあったことからも「指さし」ファンにも親近感のある注目の番組だから、ディレクター・太田 勇さんに番組のこと、YOUたちのことを聞いてみた。


YOUとの接し方、日本人が旅行先でYOUになったときの受け入れられ方


――多くのYOUに声をかけてこられてところで、YOUたちの来日目的に何か傾向のようなものがあったりするでしょうか?

「若いYOUでも京都や浅草に行きたいという人は多いし、ご年配のYOUでも渋谷に行きたいという人もいます。ただ、日本人に比べると外国人のほうがノープランで来る人が多いように思います。番組当初は、ノープランという理由だけで密着していたが、あまりに多いので、今はそれだけでは密着しません」


――YOUたちが旅先で出会う日本人はYOUたちとどのように接していますか?

「基本的に日本人はみんな親切です。私たち取材班も、テレビ的に『感じのいい人』を選んで取材しているので、元気なYOU、陽気なYOUばかり。だからすぐに日本人と打ち解けて、親切にしてもらっている光景をよく目にします」


――日本人が旅行で外国へ行って“YOU”になったとき、現地の人に受け入れてもらうにはどうすればいいでしょう?

「私は高校・大学とアメリカの学校に通いました。また、この仕事で多くのYOUたちと接した経験から“コミュニケーションを取ろうという姿勢”が大事だと思っています。現地の言葉が話せなくても、重要なのは姿勢なんです」


――番組に登場するYOUたちはほとんどがそうですね。

「以前、目をつぶってガイドブックのページをめくって指さし、指が当たったところを旅する2人のYOUがいました。デンマークから来た彼らはまったく日本語が話せませんでした。でも、旅の途中から「アリガトウ」や「ゴチソウサマ」といった片言の日本語を話すようになったんです。こういった姿勢が大切なんです。日本で、外国人観光客から日本語でお礼を言われたらうれしいじゃないですか。こういう感情はどの国でも共通ではないでしょうか」


――日本を旅したYOUたちは、日本にどんな印象を持って帰っているのでしょう?

「良い印象を持っていただいていることだけは間違いありません。私の知る限り不平を言って帰国したYOUは1人もいませんから。でも、Wi-Fi環境が整っていないことで困っているYOUは多いですね。成田空港ですら電波が弱いんですよ。それと、英語を話せる日本人が少ないことに驚くYOUもいます。『日本人は優秀なのに英会話ができない』という感想をときどき耳にします。


――そのほか、YOUと接していて強く感じられることがあれば教えてください。

「日本の文化が浸透しているということですね。漫画やアニメをきっかけに日本に興味を持ったというYOUが多いのですが、三味線の稽古をしているスウェーデン人や、戦国武将に夢中のアメリカ人など、日本人よりも日本の歴史や文化に造詣の深いYOUがたくさんいます。そうそう、平安時代の文学が大好きなロシアの女の子もいました。彼女は枕草子と源氏物語をロシア語で読んだそうで、いつかは日本語で読んでみたいと」


――今後、YOUたちに紹介したい日本の文化やスポットはどこでしょう。

「私はずっとバラエティ番組を制作してきたので、渋谷のヨシモト∞ホールやルミネtheよしもと、あるいは松竹芸能の角座などで、日本のお笑いを体感してもらいたいですね。言葉がわからなくても楽しめるはずですから」


――そういった点を踏まえ、今後新しいコーナーなどをつくる予定などは?

「常に新コーナーの可能性は探っています。たとえば今は、骨董市に買い物にきたYOUたちに『何を買いに来ましたか?』という取材を続けています。放送できるクオリティに仕上がるかどうかですが、代々木公園や有楽町の骨董市にはかなりたくさんのYOUがいました。これからも密着取材だけでなく、新しいコーナーもつくって、もっとYOUたちのパワーを感じてもらえるようにがんばります」


――ますます増え続ける外国人観光客YOUに、私たちはどんな気持ちで迎えればいいのでしょう?

「番組を観ていただければわかるように、日本好き、日本に興味を持ってくれているYOUはたくさんいます。でも反対にYOUたちの国に興味を持つ日本人が増えているようには思えません。日本に興味を持ってくれたYOUに対して、私たちもYOUの国に興味を持つ。そうすることで、YOUたちともっと良好な関係を築けるはずです」


――最後にメッセージを!

「成田空港でロケをしていると『ほんとうにガチでやっているんだ』と驚かれることが多いのですが、うちの番組は“100%ガチ”です(笑)。ヤラセや仕込みは一切ありません。だから、素直な気持ちで番組を楽しんでください。そして、街中で取材班に遭遇することがあったら、恥ずかしがらずにぜひ協力してください(笑)。最後に宣伝を。4月3日からBSジャパンで、東京03さん、夏帆さん、ヨーロッパ企画さんのコント風ドラマ“見えざるピンクのユニコーン”がはじまります。金曜23:30~24:00です。ぜひご覧ください!」


part1では、「番組のウリはYOUたちのパワー!」をお伝えしています。

YOUは何しに日本へ?

番組タイトル:「YOUは何しに日本へ?」
放送時間:毎週月曜6時57分~
出演:バナナマン
番組HP:https://www.tv-tokyo.co.jp/youhananishini/


ディレクター太田勇さん太田 勇
テレビ東京 制作局所属
入社14年目。ディレクター、プロデューサーとしてバラエティ番組をはじめユニークなドラマに携わる。子ども番組「ピラメキーノ」の総合演出を務めるほか、ドラマ「太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方」監督や話題になった「山田孝之の東京都北区赤羽」プロデュースを製作。
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