本棚には指さし”全巻”!多国籍マンションの敏腕コンシェルジュが指さし会話帳に込める「おもてなし」

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YUBISASHI 旅の指さし会話帳

Bună ziua(ブナ・ズィワ)!(ルーマニア語でこんにちは)

指さし会話帳編集部です。

皆さんのカバンの中やご自宅の本棚にある「旅の指さし会話帳」が、日常のどのような場所に存在し、景色の一部となっているのかをご紹介する連載企画「指さし会話帳のある風景」。

前回は、『指さし会話帳 東ティモール』著者の髙久さんが古巣の生涯学習施設で、「地元・龍郷町の子どもたちに世界にふれてほしい」と会話帳や民族衣装などを行った「凱旋展示」についてご紹介いたしました。

奄美大島から世界へ!「りゅうがく館」で東ティモール版著者がつなぐ異文化交流(指さしのある風景)

第5回となる今回は、東京都内のマンションでコンシェルジュとして働く指さしヘビーユーザー、福田(ふくた)さんをご紹介します!

さっそくですが、福田さんの自宅にある、本棚の指さしコーナーを公開します!

指さし会話帳が!

これでもかというほど!

本棚に並ぶ!

ありがたや~ありがたや~…🙏

福田さんのご自宅の本棚にズラリと並ぶのは、アジア、ヨーロッパ、中南米から、ビジネスなどの「旅の~」以外のシリーズ、最新のエディションにいたるまで、世界各国の「指さし会話帳」全シリーズにあたる80冊以上。もちろん、最新の東ティモールも押さえ済みです。なんと「2回くらいに分けてまとめてドンと購入した」というコレクションです。

さて、そんな福田さん。スマホで翻訳できる時代にあって、なぜ福田さんは「紙の会話帳」を手に取り、目の前の人と向き合い続けるのでしょうか。コンシェルジュとしての実践や、ネパール料理店での心温まるやり取り、そして定年後の素敵な夢まで、たっぷりとお話を伺いました。

愛知万博で知った「ネイティブの言葉で掛ける挨拶」の喜び

福田さんと指さし会話帳の出会いは、今から21年前の2005年、地元・中部地方で開催された「愛知万博」に遡ります。当時、名古屋のホテルでフロントとして勤務していた福田さんは、万博を機に来日する世界中のお客様を前に「挨拶だけでも彼らの国の言葉で交わしたい」「文化や食べ物を知りたい」と強く願っていました。

そんな時に書店でふと手にしたのが、手書きのイラストとカラフルな紙面が目を引く「旅の指さし会話帳」でした。

普段から語学学習が習慣だという福田さん。このように本を手に取って読むそうです。

「パッと見た瞬間、『なんだこれ、めちゃくちゃ楽しい!』と一目惚れしてしまって。身の回りのものが網羅されているので、もう大人買いしました(笑)」

実際にホテルのカウンターで、国際会議等で来日したお客様にその国の言葉で挨拶をしてみると、お客様の表情が「おっ!」と驚き、本当に嬉そうな笑顔に変わったそうです。

「その瞬間に全身に鳥肌が立って『よっしゃ!』という。通じたといううれしさだけがもう僕のモチベーションでした」

ネパール料理店での「実践」と広がる交流

2010年、福田さんは東京へと拠点を移し、マンションのコンシェルジュへ転職します。新たな職場や住まいの周りでも、福田さんの「指さし愛」はさらに深く、生きた形で発揮されていきました。当時暮らしていた街の最寄り駅前で、ネパールの方が経営するお店を見つけた福田さんは、『指さし会話帳 ネパール』を片手に飛び込みました。

「指さし会話帳 ネパール」を手に持つ福田さん

「そのお店でよく使ったのは 『辛い』『お腹いっぱい』などですね。1回目は見ながら話して、2回目からはもう見ない、みたいな。自分自身の覚える学習プロセスみたいになってますね。店員さんから『え、ネパール語できるの!?』みたいな感じで。やっぱり日本語が母語ではない人たちなので、『ちょっとでも自分たちの言葉で話してくれるのは本当に嬉しい』と言われました」

使っていたフレーズを指差す福田さん

大使館員の住むマンションで。サイレンのパニックを救った「心の繋がり」

以前に勤務していたマンションは、タイの大使館関係者などの外国人の方が暮らす、まさに「多国籍マンション」でした。そこでも福田さんは、常に10〜20冊の会話帳を備えておいて、住人たちの母国語で挨拶を実践していました。

「なんとか伝えようとするとやっぱり、相手の気持ちが少しずつ溶けていくというのはあるのかなとも思います」

ある日、避難訓練のサイレンが鳴り響き、日本語も英語も話せないルーマニア人のおばあちゃんがパニックになってフロントへ駆け込んできました。その日は福田さんはお休みで、他のスタッフがなんとか対応したのですが、そのときにその方が会話帳を持ってきていたことで、「海外の人にも認知されているんだな」と気づいたそうです。

福田さんの退職が決まると、タイ大使館関係者から今までの感謝を込めて、タイ大使館が特別にゆびさしに依頼して作った「ミニ版(非売品)の指さし会話帳」が贈られました。「指さしのレア物ゲット!と嬉しくて、今でも大切に持っています」と、愛おしそうに手に持って見せてくれました。

プレミアもの!?の、タイ王国公式版「指さし会話帳 タイ」

まさか、大使館の依頼で制作した指さし会話帳が、このような形で交流を生んでいたとは!驚きです。

案内シートの自作と、迷子の男の子を救ったコンシェルジュ精神

現在は中国人の住民が多いマンションで活躍する福田さん。英語が通じない住民ともスムーズにやり取りできるよう、指さし会話帳を参考に「はい/いいえ」で意思表示ができるオリジナルの中国語案内シートを自分で作成し、職場全体で使えるようにしています。

ある日、建物内でお父さんとはぐれて大泣きしていた中国人の男の子を「大丈夫だよ、待っててね」と、男の子が親と再会できるまでフロントでやさしく保護したことがありました。すると翌日、親子がお礼にお菓子を持ってわざわざフロントに訪ねてきてくれたそうです。

「今後、翻訳アプリがどんどん発達して、スラスラと言えるようになるというのは、仕事のストレスが減っていくという点で楽だなと思います。でも、やっぱり、すべて機械でやっちゃうっていうのは寂しいなと思いますね」

福田さんは真剣な眼差しで語ります。

「人と人がちゃんと話して、コミュニケーションを通して意思疎通していくというのが、その人と仲良くなる近道だと思います。そこで自分は今後も同じように、あんまり翻訳アプリなどに頼らず、今まで培った言語などはどんどん実際に話していくつもりでいます。その方が自分の勉強にもなって、知識につながっていくので」

夢は京都でのボランティアガイド。紡がれる「ことば」の未来

そんな福田さんには、定年後に叶えたい「夢」があります。

大の日本史好きが高じて、京都に大ハマりした福田さん。現在ではなんと超難関として知られる「京都検定1級(すべて筆記記述式)」の合格を目指し、分厚い公式テキストを片手に猛勉強を重ねています。

京都を旅行中の福田さん

「定年後は、京都に移り住んで、色んな言語でボランティアガイドをしようかなと。会話帳も使いながら。京都検定の1級も持っていれば、割といけるマニアックな話もできるので」

実は、すでにプライベートで京都を訪れた際にも、福田さんの「おもてなし精神」は発揮されています。観光客で超満員になったバスで、降りられずに困っている外国人を見かけると、すかさず福田さんが「降りる人が後ろにいます!」と、英語、中国語、ときによってはポルトガル語・イタリア語・フランス語・スペイン語などの言語を駆使してアナウンスを代行するのだそうです。すごい…!

「声を掛けられた外国の人もびっくりだし、周りの乗客もびっくりだし、運転手さんも「えっ」て見る(笑)。でも、自分が降りる時は、みんなが『ありがとう』と言ってくれます」と笑います。

愛知万博から踏み出した一歩から、ネパール料理店、多国籍マンション、そして未来の京都へと繋がっていく福田さんの「ことば」の旅。

指を差し、目が合い、笑顔が生まれる。福田さんの会話帳のページには、これからも国境を越えたたくさんの「温かいおもてなし」が刻まれていくに違いありません。

あなたの周りの「指さしのある風景」、募集しています。

今回は、指さし会話帳全シリーズを持っているという福田さんをご紹介しましたが、皆さんの身の回りにある「指さしのある風景」も、ぜひ教えてください!

ご自宅の本棚に鎮座する指さし会話帳、旅先でボロボロになるまで使い込んでいる場面、語学学校のデスクの上、はたまた今回のような地域の交流スペースなど、日本国内、外国、はては宇宙(!)まで、場所はどこでも大歓迎です

お寄せいただいた風景は、こちらの公式ホームページやLINE公式アカウント、メールマガジンなどで紹介させていただきます。紹介させていただいた方には、ささやかながらオリジナルグッズを進呈いたします。

皆さんの日常や旅の一部となっている「指さし会話帳」の姿を、編集部一同、心より楽しみにしています!

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取材協力:福田さん

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